セキスイハイムで有名な「積水化学工業」は高配当株投資として魅力があるのか
積水化学工業は、「住宅」「高機能プラスチックス」「環境・ライフライン」を主軸とする大手化学メーカーです。
「住宅」では、セキスイハイムを展開しており、住宅に興味のある方は、名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
そんな積水化学工業ですが、高配当株投資の候補として検討の余地がありそうなのです。
「積水化学工業の投資先としての魅力を知りたい」
「積水化学工業の住宅事業の状況について知りたい」
そんな方のために、建築業界で14年間以上勤務し、高配当株投資歴も3年以上の私が、初心者にもわかりやすく解説します。
この記事を読めば、積水化学工業について理解を深め、投資すべきか判断できるようになります。
・積水化学工業について理解が深まる
・投資すべきが判断するためのポイントがわかる
投資先として気になるところ
①売上高と営業利益
積水化学工業の売上高は、コロナ禍では減少したものの、その後は右肩上がりで増加しており、2023年度は1兆2,565億円となり過去最高を更新しました。
2023年度の営業利益は、高機能P(プラスチックス)が大幅な増収増益、住宅は新築住宅市況の長期低迷および部材高騰の影響により減収減益となっています。
2024年度は、会社全体の営業利益で初の1,000億円台を目指しているよ。
②主力事業
過去においては、住宅が売上高や営業利益の半数以上を占めていましたが、最近では高機能プラスチックスが成長しています。
日本では住宅市場が縮小傾向にあるので、異なる分野にも強みがあることは魅力的だね。
③株主還元
積水化学工業は、15期連続増配を発表しています。
利益配分に関する基本方針として、企業価値を増大させ、株主への利益還元を積極的に行うことを経営上の重要課題の一つとして位置付けています。
【株主還元について】
- 連結配当性向40%以上
- DOE(自己資本配当率)3%以上
- D/Eレシオ0.5以下の場合には総還元性向50%以上。中期計画の投資進捗、キャッシュポジション、 株価を考慮し、適宜追加還元実施
健全な配当性向を維持しながら、15期連続増配はすごいね。
④配当優待券
配当優待券は実施していません。
積水化学工業の会社について
概要
・本社所在地 大阪本社 大阪市北区西天満2丁目4番4号
東京本社 東京都港区虎ノ門2丁目10番4号
・設立 昭和22年(1947年)3月3日
・従業員数 26,838名(2023年3月期連結ベース)
・売上高 1,242,521百万円(2023年3月期連結ベース)
積水化学工業は「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の領域において、「高機能プラスチックス」「住宅」「環境・ライフライン」の3つのカンパニーとメディカル分野で事業を展開しています。
事業別の売上高は「住宅」が最も高いですが、営業利益では「高機能プラスチックス」がトップとなっています。
次は住宅の詳細について説明するね。
住宅について
セキスイハイムでは、住宅をユニット単位に分割して、品質管理の徹底された工法で精密につくり込む、独自の「ユニット工法」を採用しています。
工程の大部分を屋根のある工場の中で行い、現場ではわずか1日(建物規模や天候、その他の条件による)で雨仕舞までを完了できます。
棟上げ日には屋根だけでなく、窓も玄関ドアも取りつけられた状態となるため、雨天でも安心できる工法です。
その他特徴としては、いち早く環境問題に取り組んできました。1997年には太陽光発電(ソーラー)搭載住宅の発売を開始しています。大容量蓄電池と大容量ソーラーで、できるだけ電気を買わない、先進の暮らしを提案しています。
トップメッセージ
当社は化学メーカーですが、自社原料をほとんど持たず、お客様の要望に対して最適な原料を選択し、付加価値の高いソリューションを提供する「加工」を強みとしています。加えて、社会課題の解決ニーズを先んじて捉える「先取り変革」も、当社の持つもう一つの強みです。
成長を目指す事業について紹介します。世界シェアNo1の自動車向け合わせガラス用中間膜は、ガラスの飛散機能をもち、遮音・遮熱など複数の機能を付加することができます。なかでも遮熱機能は燃費向上のほか、EV車におけるバッテリー負荷の軽減にも役立っています。
日本国内を中心に安定的に展開している事業について紹介します。プロセスの大部分を工場で生産するユニット住宅「セキスイハイム」は短工期と高い耐久性・災害に強い構造が特徴です。売上の約半分を占めるこの事業は、大きな投資が一巡し、安定的にキャッシュを稼ぐことのできる事業です。
積水化学グループは2030年に売上高2兆円、営業利益率10%以上を目指す長期ビジョンを掲げています。これからも、社会課題を戦略的に捉え、解決していくことで持続的成長と中長期的な企業価値の向上に取り組んでいきます。
過去の業績(高配当株投資として)
高配当株投資先として検討する際、過去の業績等を把握することは重要です。
業績チェックにあたり、特に重要と思われる以下の6つの項目をまとめました。
項目 | 評価 (⭕️良い △普通 ✖️悪い) |
売上高 | ⭕️ |
EPS (1株あたりの利益) | ⭕️ |
営業利益率 | △ |
自己資本比率 (企業の安全性を表す指標) | ⭕️ |
1株あたりの配当金 | ⭕️ |
配当性向 | ⭕️ |
高配当株投資として、⭕️が多く魅力的だね。
売上高:⭕️
売上高とは、企業が提供する商品やサービスで1年間にいくら稼いだかを表す売上金額の総額のことです。
・右肩上がりになっているか
・増減が激しすぎないか
出所:IR BANK
安定して右肩上がりになってるね。
EPS:⭕️
EPSとは、1年間にその会社がいくら稼いでいるかを、1株あたりの利益で表したものです。
株式投資において最も重要な指標で、伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏も重要視しています。
・右肩上がりになっているか
出所:IR BANK
コロナ禍を除いて、右肩上がりになっているね。
営業利益率:△
営業利益率とは、売上のうち営業利益の割合のことです。営業利益が高いほど儲かるビジネスをやっている収益性の高い企業です。
・10%以上なら優秀
・5%以下なら検討の余地なし
出所:IR BANK
5%以上はキープしているよ。
自己資本比率:⭕️
自己資本比率とは、企業の安全性を表す指標です。自己資本比率が高ければ高いほど潰れにくい会社です。
例えば手元に100万円がある場合、考え方は以下のとおりです。
100万円全額を自社で用意できた場合・・・自己資本比率100%
40万円を自社で用意、60万円を借金で用意した場合・・・自己資本比率40%
・40%以上は欲しい
・60%を超えると安心
出所:IR BANK
50%後半台で推移していて、安定してしているよ。
1株あたりの配当金:⭕️
配当金とは、保有株式の数に応じて株主に分配される現金のことです。
・配当金の安定性(減配や無配がないか)
・配当金の成長性(増配)
出所:IR BANK
きれいな右肩上がりだね。
配当性向:⭕️
配当性向とは、利益のうち何%を株主にキャッシュバックするかを示す指標です。
企業が無理して配当金を出していないかチェックすることができます。
・30〜50%は健全
・70%以上は要警戒
出所:IR BANK
健全な配当性向だね。
現在と今後(高配当株投資として)
配当利回りと株価の割安判断
配当利回りとは、1年間の配当によるリターンが、投資額の何%になるかを表したものです。
配当利回りは3.75%以上は欲しい
現在の配当利回りは、約3.38%(2024年6月7日現在)です。
配当利回りはちょっと低いかな。
株価が割安かを把握することも重要だから、ミックス係数も見てみよう。
ミックス係数
現在の株価が割安か判断する指標のひとつにミックス係数があります。
伝説の投資家ウォーレン・バフェットの師匠として有名なベンジャミン・グレアムが定量分析に活用できるよう、以下の考え方を紹介しています。
ミックス係数「PER(株価収益率)×PBR(株価純資産倍率)」
この係数が22.5を下回った時に割安と判断しています。
さらにいうと、PERが15倍、PBRが1.5倍程度が目安です。
ミックス係数は14.0(PER:11.86、PBR:1.18)、比較的、割安ではある。(2024年6月7日現在)
株主への還元の考え方
中期経営計画では、株主に対する利益還元をこれまで以上に積極的に実施していくとしています。
連結配当性向については40%以上、DOE(自己資本配当率)は3%以上を確保し、業績に応じかつ安定的な配当政策を実施していく計画です。
現在の状況
2023年度は、高機能P(プラスチックス)が大幅増益です。
なお高機能Pおよび環境LL(ライフライン)は年度最高益を更新しました。
一方、住宅、メディカルは減益でした。
【2023年度 セグメント別売上高・営業利益】
・高機能P:モビリティ分野を中⼼に、需要増影響および高機能品の拡販により大幅増収増益。
・住宅:新築住宅市況低迷の⻑期化および部材高騰影響大きく、減収減益。
・環境LL:住宅需要減、建築市況停滞も、スプレッド確保の徹底、重点拡大製品の拡販により、増収増益。
・メディカル:国内検査需要増、新規原薬堅調および為替影響により増収も、米国におけるCOVID-19検査キット販売減等の影響大きく、減益。
住宅の現状
リフォーム事業においては、人員体制強化により堅調な需要を確実に取り込み増益も、住宅事業の売上棟数減、部材高騰影響大きく、全体では大幅減益。
未来の展望
各セグメントで増収増益を見込んでいます。
【2024年度計画 セグメント別売上高・営業利益】
・高機能P:モビリティ分野の伸⻑、および半導体を中⼼としたエレクトロニクス関連需要の回復を⾒込み、大幅増収増益を計画。
・住宅:新築住宅市況の緩やかな回復を想定。住宅事業の収益性強化策の遂⾏およびリフォーム事業等の伸⻑により増収増益を計画。
・環境LL:上期は市況停滞も、下期より緩やかな回復を⾒込む。重点拡大製品の拡販、海外売上増、売値改善に注⼒。
・メディカル:国内外検査需要を確実に取り込み、国内および中国での血液凝固機器・試薬、米国での新製品拡販を計画。
2024年度計画では住宅を除くセグメントで最高益更新を計画しているので、住宅もがんばってほしい。
住宅の展望
2024年度は、新築住宅市況は緩やかに回復することを想定しており、住宅事業の収益性強化策の遂行およびリフォーム事業等の伸長により、増収増益を計画しています。
詳細を見ていくと、売上棟数は減少を見込んでいますが、棟単価上昇により、売上はほぼ前年並みとしています。
リフォーム事業は、シフト人員の戦⼒化継続により受注拡大とし、引き続き増収増益を計画しています。
最近は、どの住宅メーカーもリフォームに力を入れているね。
まとめ
積水化学工業は、「住宅」「高機能プラスチックス」「環境・ライフライン」を主軸とする大手化学メーカーです。環境問題やエネルギー効率の向上など、社会的課題に対する解決策を提供する製品を展開しています。
また研究開発に積極的に取り組んでおり、新たな材料や技術の開発に力を入れています。競争力を維持し、新たな市場を開拓することが期待できます。
売上高や営業利益については、コロナ禍では減少したものの、長期的に右肩上がりで成長しています。2030年には売上高2兆円、営業利益率10%以上を目指す長期ビジョンを掲げています。
高配当株投資としては、15期連続増配を発表しており、将来性と安定性を考えると魅力的な会社です。今後、株価の下落等により、希望する配当利回りになった場合、投資したいと考えています。
最後に、原材料価格の変動や住宅市場の低迷など、リスク要因が存在します。もし投資を検討する際は、これらのリスクを十分に理解した上で、慎重に判断することが重要です。
免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。