高配当株投資の目線で見る大和ハウス工業
大和ハウス工業は、ハウスメーカーで売上高の首位をキープする国内最大手の会社です。
その大和ハウス工業は、高配当株投資先としても、検討の余地のある会社であることをご存知でしょうか?
「投資先として検討したことがない…」
そんな方のために、建築業界で14年間以上勤務し、高配当株投資歴も3年以上の私が、大和ハウス工業の高配当株としての魅力と、確認すべきポイントを、初心者にもわかりやすく解説します。
この記事を読めば、大和ハウス工業について理解を深め、投資すべきか判断できるようになります。
・大和ハウス工業について理解が深まる
・投資すべきか判断するためのポイントがわかる
大和ハウスが高配当株として魅力的な理由
①高い業績
大和ハウス工業は、日本の大手住宅メーカーであり、東証一部上場企業です。
売上高は右肩上がりで増加しており、23年3月期には4兆9,081億円となり過去最高を更新しました。
また営業利益に関しても着実に成長しており、今後も業績成長が期待できます。
売上高は、同業種のライバル企業、積水ハウスの23年3月期の売上高3兆1,072億円と比較しても、高い売上高となっています。
②安定的な株主還元
配当金に関しては、右肩上がりで増え続けており、13期連続増配を達成しています。
配当性向はほぼ横ばい(30〜40%)で推移しており、配当余力も十分にあります。※配当性向については、後ほど詳細を説明します。
大和ハウス工業は、安定的な株主還元に努める方針としています。
③成長の見通し
大和ハウス工業は、中期経営計画において2027年3月期に、売上高5兆5,000億円、当期純利益3,400億円を目指しています。
下のグラフからもわかるように、海外事業の比率が約2割となり、中でも海外の戸建住宅が大きく伸びる計画となっています。
今後、海外事業の状況を注視していきたいですね。
④配当優待券
大和ハウス工業の株主優待は、所有株式数に応じて共通利用券が贈呈されます。
共通利用券は、全国の当社グループが運営するホテル、ゴルフ場、ホームセンター、スポーツクラブなどの施設のほか、株主優待専用グルメギフトや社会貢献活動にも利用できます。
大和ハウス工業はどんな会社
概要
大和ハウス工業は1955年、「建築の工業化」を企業理念に創業し、これまで、戸建住宅をコア事業に、賃貸住宅、分譲マンション、商業施設、事業施設(物流施設、医療・介護施設等)、環境エネルギーなど幅広い事業領域で活動しています。
・本社所在地 大阪市北区梅田3丁目3番5号
・設立 1955年4月5日(設立1947年3月4日)
・従業員数 連結:49,768人(2023年3月31日)
単体:16,093人(2023年3月31日)
・売上高 連結:4,908,199百万円(2023年3月期)
単体:2,006,066百万円(2023年3月期)
住宅メーカーのイメージが強いけど、戸建住宅の売上高は全体の18%。幅広い事業を展開している会社なんだね。
トップメッセージ
第7次中期経営計画は、事業環境の不確実性や、不透明さが高まる中でも、将来に渡って成長し続けていける「持続的成長モデルの構築」を最大のテーマに掲げました。
特に、気候変動リスクの高まりや、資材・資源の高騰、原材料の供給リスクについては、グループ全体でしっかりと取り組むべき課題として認識しており、「収益モデルの進化」、「経営効率の向上」、「経営基盤の強化」の3つの経営方針に取り組み、請負中心の収益モデルから、海外、ストックも含めたバランスの取れた収益モデルへと進化させ、最終年度には、売上高5兆5,000億円、営業利益5,000億円、当期純利益3,400億円を目指します。
資本政策につきましては、株主資本当期純利益率(ROE)を最も重要な経営指標の1つと捉え、第7次中期経営計画でも引き続き、その目標値を13%以上と定めています。また財務健全性を計る指標であるD/Eレシオは0.6倍程度とすることで、企業価値向上と財務規律維持とのバランスを取りつつ、積極的かつ慎重に投資の可否を判断してまいります。
株主還元につきましては、不動産開発投資、海外事業や環境投資・M&Aなどの戦略投資、そして研究開発および生産設備等の成長投資に資金を投下し、1株当たりの利益(EPS)を増大させることを以て株主価値向上を図ることを基本方針としております。配当性向は35%以上、かつ一株当たり配当金額の下限は130円とし、安定的な株主還元に努めるととともに、機動的な自己株式の取得も検討してまいります。
戸建住宅の特長
大和ハウスグループの事業には、戸建住宅、賃貸住宅、マンション、商業施設、事業施設、環境エネルギーなどがあります。
今回は、ハウスメーカーとして認知されている「戸建住宅」について、特徴を説明します。
戸建住宅では、先進の鉄骨造住宅や木造住宅により、快適で安全・安心の暮らしを創りを目指しています。
連続した巨大地震に耐える高い耐震性能の鉄骨造住宅「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」、木造住宅「xevo GranWood(ジーヴォグランウッド)」を展開しています。
また、カーボンニュートラル実現に向けて、社会の脱炭素化を加速するという目標があります。その思いを2050年までに実現するため、2030年度に、住宅や事業施設など原則すべての建物において、ZEH・ZEB率100%と太陽光発電の標準化をめざしています。
海外では米国およびオーストラリアで事業を展開しています。海外の売上戸数は成長しており、23年3月期の売上高の国内・海外の構成比は、ほぼ等しくなっています。
過去の業績(高配当株投資として)
高配当株投資先として検討する際、過去の業績等を把握することは重要です。
業績チェックにあたり、特に重要と思われる以下の6つの項目をまとめました。
項目 | 評価 (⭕️良い △普通 ✖️悪い) |
売上高 | ⭕️ |
EPS (1株あたりの利益) | ⭕️ |
営業利益率 | ⭕️ |
自己資本比率 (企業の安全性を表す指標) | △ |
1株あたりの配当金 | ⭕️ |
配当性向 | ⭕️ |
自己資本比率の評価がいまいちですが、その他は良い状況です。
それでは、それぞれの詳細を見ていきましょう。
売上高:⭕️
売上高とは、企業が提供する商品やサービスで1年間にいくら稼いだかを表す売上金額の総額のことです。
・右肩上がりになっているか
・増減が激しすぎないか
出所:IR BANK
右肩上がりになっています。
EPS:⭕️
EPSとは、1年間にその会社がいくら稼いでいるかを、1株あたりの利益で表したものです。
株式投資において最も重要な指標で、伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏も重要視しています。
・右肩上がりになっているか
出所:IR BANK
動きはあるものの、右肩上がりになっています。
営業利益率:⭕️
営業利益率とは、売上のうち営業利益の割合のことです。営業利益が高いほど儲かるビジネスをやっている収益性の高い企業です。
・10%以上なら優秀
・5%以下なら検討の余地なし
出所:IR BANK
ここ数年は8.5〜9.5%で推移しています。
自己資本比率:△
自己資本比率とは、企業の安全性を表す指標です。自己資本比率が高ければ高いほど潰れにくい会社です。
例えば手元に100万円がある場合、考え方は以下のとおりです。
100万円全額を自社で用意できた場合・・・自己資本比率100%
40万円を自社で用意、60万円を借金で用意した場合・・・自己資本比率40%
・40%以上は欲しい
・60%を超えると安心
出所:IR BANK
自己資本比率は40%に達していません。
1株あたりの配当金:⭕️
配当金とは、保有株式の数に応じて株主に分配される現金のことです。
・配当金の安定性(減配や無配がないか)
・配当金の成長性(増配)
出所:IR BANK
配当金は安定しており、右肩上がりとなっています。
配当性向:⭕️
配当性向とは、利益のうち何%を株主にキャッシュバックするかを示す指標です。
企業が無理して配当金を出していないかチェックすることができます。
・30〜50%は健全
・70%以上は要警戒
出所:IR BANK
ほぼ30〜40%で推移しており、健全です。
現在と今後(高配当株投資として)
配当利回りについて
配当利回りとは、1年間の配当によるリターンが、投資額の何%になるかを表したものです。
配当利回りは4.0%以上は欲しい
現在の配当利回りは、約3.32%(2024年4月19日現在)です。
配当利回りを見ると、今は物足りないかな。
でも配当利回りだけではなく、株価が割安かを把握することも重要だよ。
その判断方法の一つにミックス係数があるよ。
ミックス係数
現在の株価が割安か判断する指標のひとつにミックス係数があります。
伝説の投資家ウォーレン・バフェットの師匠として有名なベンジャミン・グレアムが定量分析に活用できるよう、以下の考え方を紹介しています。
ミックス係数「PER(株価収益率)×PBR(株価純資産倍率)」
この係数が22.5を下回った時に割安と判断しています。
さらにいうと、PERが15倍、PBRが1.5倍程度が目安です。
ミックス係数は11.4(PER:10.0、PBR:1.14)、割安ではある。(2024年4月19日現在)
株主への還元の考え方
・配当性向は35%以上
・一株当たり配当金額の下限は130円
・機動的な自己株式取得の実施
株主還元に関する基本的な方針
当社は、事業活動を通じて創出した利益を株主の皆様へ還元することと併せ、中長期的な企業価値の最大化の為に不動産開発投資、海外事業展開、M&A、研究開発及び生産設備等の成長投資に資金を投下し、1株当たり利益(EPS)を増大させることをもって株主価値向上を図ることを株主還元に関する基本方針とします。
配当性向については、親会社株主に帰属する連結当期純利益の35%以上、かつ一株当たり配当金額の下限は130円として業績に連動した利益還元を行い、かつ安定的な配当の維持に努めます。
なお自己株式の取得については、市場環境や資本効率等を勘案し、適切な時期に実施することとします。
未来の展望
2026年度の業績目標については、4つの事業(戸建住宅・賃貸住宅・商業施設・事業施設)で、それぞれ営業利益1,000億円を目指しています。
特に戸建住宅の目標が高く、その中でも海外目標を高く設定してします。
まとめ
大和ハウス工業は、売上高の首位をキープする国内最大手の会社で、高い業績と今後の成長が期待できます。
第7次中期経営計画では、請負中心の収益モデルから、海外、ストックも含めたバランスの取れた収益モデルへと進化させ、最終年度(2027年3月期)には、売上高5兆5,000億円、営業利益5,000億円、当期純利益3,400億円を目指すこととしています。これらの目標を達成する鍵は、海外での戸建住宅事業であると私は考えています。
高配当株投資としては、配当性向は35%以上、かつ一株当たり配当金額の下限は130円とし、安定的な株主還元に努めるととともに、機動的な自己株式の取得も検討する方針としています。今後、配当利回りが4.0%以上になった場合、投資を検討していきたいと思います。
最後に、住宅市場の低迷や金利上昇など、リスク要因も存在します。投資を検討する際は、これらのリスクを十分に理解した上で、慎重に判断することが重要です。
免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。